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霊魂と治病

仏教と密教

10年くらい前の話、
晩年アルツハイマーが進んだ父は、
「お前はいくつになったんだ?」
と毎日5回くらい僕に聞きました。

(当時)52だよ。
と答えると、

「そうかあ、花盛りだな」
 ん?

(母;あなたの50代はそうだったんでしょうね)

「いやあ、おれもこの歳になって、毎日気楽なもんだよ」
(母;アタシは気楽じゃないわよ)

「まあさ、女房には甘えていればいいんだよ」

  ・・・・・

「それはそうと、ナオさん(妻)はいつ来るんだ?」

来週だよ。

「早く一緒になれよ。 あの娘はとてもいい子だぞ。
 お前も、歳なんだから、そろそろ決めろ!
 オポチュニティは毛が三本だからな」

この、最後のひとことが、
未だによく分からない。
オバQだろうか。

それはさておき、

お大師さんの『十住心論』巻第一には

「身病多しといえども其の要は六つ、
 四大鬼業是れなり。
 心病多しといえども其の本は唯一つ。
 いわゆる無明これなり」

「四大の乖けるには薬を服して除き、
 鬼業の祟りには呪悔をもって能く消す」

とあります。

病気の原因は

四大(地・水・火・風から構成されている肉体)の不調

の六つ。

四大(肉体の不調)には薬や食事で、
鬼は呪法で、
業の報い(行いの悪さ)は懺悔で、
治します。

そして、
誤った行いにより来る病気には、
自然な生きかたと心の改めによらなければ治らない。

この中で「鬼(き)」について、

『蘇婆呼童子経』や『摩訶止観』などでは、

天魅 アシュラ ケンダラ カロダ キンナラ ヤクシャ などの、
いわゆる霊魂と考えられている魔物が、
身体に入るから病気になる

としています。

これらの魔は、 煩悩魔や五蘊魔という執着する心のこと。

なぜそれらの魔物が病苦を与えるのか、

それは、
人の過ちを伺い求めるため
いつも怒っているため
煩悩が盛んなため
くだらないうわさ話にうつつを抜かしているため

など。

その治療法は、『蘇婆子童子経』、『准胝陀羅尼経』などに、
多くの真言や印契で行う修法が伝えられています。

しかし、お大師さんの言う「鬼」は

「怖れの意識」

です。これが病気の原因である、と。

それに気がつかないと、
理解不可能な何かに原因を求めようとする。

怖れを無くすことは最良の布施になります。

人の厄難を救うこと。
怖れなき状態にしてあげること。
こわい思いをさせないようにすること。

恐怖心を取り除いてあげることは、
無畏施という最良の布施になります。

父のアルツハイマーは・・・。

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