「この店(注記:三越前「はやし」現在閉店)には、油の匂いがしない。
よほどに、よい油を、しかも惜しみなく使っているのだろう。
腹いっぱいに食べて帰宅し、四、五時間もすると、
また、腹が空いてくるのだ。いささかも、モタれない」
(『散歩のとき何か食べたくなって』池波正太郎)
我が家贔屓のてんぷら屋・奈良木も油臭くない。
だからたくさん食べても、お腹が困らない。
この店は、油消しのなます、ぬか漬け、大根おろしがたっぷりあり、
ごはん、味噌汁の温度が丁度いい。
ある種の病気の人は甘酸っぱい匂いがするとか、
陰陽望診法では、匂いでも体調を観ます。
食べ物でもかわる。化学反応だから。
沈香伽羅など高級香の匂いは、
それを嗅ぐと心安らぐけれど、
そういう匂いの人がいたら、ちょっとどうかな。
無臭の人に憧れます。
何も臭わない、
何も染まらず、
何もこだわらない。