二か月に一度くらい、
トカゲの脱皮に出会います。
実に美しい。
初期仏教の経集「スッタニパータ」に、
脱皮の話が説かれます。
体中に広がった蛇の毒を、
薬で取り除くように、
怒りが起こったのを取り除く修行僧は、
「今世」も「来世」もともに捨て去る。
蛇が古い皮を脱ぎ捨てるように。
池に生えている蓮華を、
水に入って折り取るように、
愛着を完全に断ちきった修行僧は、
「今世」も「来世」もともに捨て去る。
蛇が古い皮を脱ぎ捨てるように。
行き過ぎず、退転せず、
すべてのものは虚妄であると知って渇望を離れた修行僧は、
「今世」も「来世」もともに捨て去る。
蛇が古い皮を脱ぎ捨てるように。

ああ、僕も脱ぎたい。
せめて新陳代謝をよくして、
洗いたてのTシャツみたいになりたい。
でも、この脱皮、
ずいぶん疲れるみたいで、
脱いだ後は二日間くらい砂に潜って寝ています。
疲れるのかな、
離欲は。
トカゲは食欲性欲睡眠欲の生存欲だけかもしれない。
でも、
余計な欲を持っている僕らと比べると
迷い煩悩は格段に少ないように見えます。
食べ過ぎず食べ散らかさず
発情発情期を守り、みだらにならない。
身体を守るために眠る。
ああ、なんという美しい世界。
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