万物の本体は、
地・水・火・風・空・識の六つ。
それらが相互に関係して、
万物の姿を作ります。
それを曼荼羅と云います。
そこは万徳が円満して、菩提の境地。
完成している、すべてを含んでいる、そういうところで、
つまりは現実、目の前にある世界のこと。
完成しているから現実に存在している、
と考えます。
密厳浄土とも云う、
事実が真実であるという立場の浄土。
そこには、すべてがあります。
好きなもの、嫌いなもの、どちらでもないもの、
悟り迷い優しさ怒り貪り思いやり、
健康、病気、戦争、平和、
自由、不自由。
達人はこの世界で、
石ころ中に宝石を見つけ、
雑草中に薬を得、
差別執着のない浄土に住します。
凡人も、
工夫と精進と努力によって、
風船がパーンと割れるような、
世界が浄土に変わる印象を経験できます。
以上は人の心の話。
そうではない浄土も想定できます。
完全にコントロールされ、
犯罪も戦争も病気もなく、
平和で静かな毎日。
睡眠時間や食事内容は適切に決められているから、
肥満も慢性病も無い。
社会の規律は厳格で、
ばい菌やウイルス、大気汚染も無く、
花が咲き、空は青く、美しい。
質素で規則的、完全に平等で、
迷い煩悩は、その言葉もイメージさえも無い。
働きすぎも、イジメも、ハラスメントも無く、
充分な余暇に、
人は科学と芸術に触れる。
多様な価値観、自由な思想、人間的な愛情、
そういうものは無い。
この世は、地獄と思えば地獄、
極楽と思えば極楽、
という人は多い。
おそらく、
施し、戒め、耐え忍ぶこと、
があれば、地獄から極楽浄土へ変わるかな。