『理趣経』のクライマックスは、五つの秘密の法門。
真言の菩薩はすべてのものを教え導き、救済しようという大いなる欲望をおこすから・・・、
と説かれます。
ここには、密教独特の表現が見られます。
悟りの智慧を求める真言行者は、
1、恋人を欲するように、仏を欲し、他者を救おうと欲する。
2、恋人に触れて確認するように、
悟りに触れて確認する、そして、他者に触れることで安心させる。
恋人とのふれあいは、菩提心に触れる瞑想修行の楽しみ。
3、恋人と抱擁し愛するように、他者を愛おしむ。
恋人に対するのと同じように、他者の苦や穢れを引き受ける。
4、恋人との愛に満ち足りるように、
慈悲を深めて他者を救済する。
この理趣経のテーマをイメージしたのが、金剛界曼荼羅の理趣会。
金剛薩埵の周りに、
1、を表現する金剛欲、2、の金剛触、3、の金剛愛、4、の金剛慢、
の四菩薩と、供養の仏が描かれます。