『性霊集』に
「山中に何の楽かある」
という文章があります。
都のお公家さんから、
長い間、寒くて厳しい、
食べ物も乏しい高野山でお過ごしですが、
京都へ帰ることを忘れたのですか、
とお便りがきます。
その返事の中に、
素敵な言葉があります。
「澗水一坏朝に命を支え、山霞一咽夕に神を谷う」
朝、谷川の水一杯が身体を支え、
夕方、山の霞一飲みが心をやしなう。
人の楽しみはそれぞれなのですよ。
「春の華、秋の菊、笑つて我に向えり。暁の月、朝の風、情塵を洗う」
自然の総てが暖かく迎えてくれ
すべて修養の種になっています。
「八部恭恭として法水に潤ひ、四生念念に各真を証せん」
仏の教えによって生き物は心に潤いを持ち、
みな悟りに向かって進みます。
季節は今頃だろうか。
OFUSEで応援を送る