地球上には、
お米を主に食べている地域と
小麦粉が主の地域があります。
米は粒、麦は粉。
粉のほうが消化吸収しやすいけれど、
酸化もしやすい。
粒は粉より咀嚼が必要。
食べ物が違うということは、環境が違います。
環境が違えば、生活が違いますから、
思想や宗教も違うでしょう。
世界は永遠か、そうでないか。
世界は有限か、無限か。
生命と身体は同一か、別か。
「私」は唯一か全てか。
世界の主宰者はいるか、いないか。
自我はあるのか、無いのか。
それらの思想と
粒食粉食の違いは、関係あるのだろうか。
何を食べるか、
どのように食べるかは、
『倶舎論』や『阿含経』などに説かれていますが、
中川先生の『有情食』や
雄山閣の『仏教医学事典』に詳しい。
行中の食事についても、口伝があります。
多くはそば粉を勧めており、
それは火を使わず水で溶いて食べられ、
カロリーもあるからでしょう。
拝む人は、
繊維が多く、お通じが良くなる食事を、
自分で選ぶべきです。
お腹と脳は無関係ではなく、
脳内を流れる血を作る食べ物は
瞑想にとても影響すると考えています。
ある口伝では、
生臭のほかに、
茸、昆布以外の海藻、大根おろしを禁忌とする記載があります。
理論的なバックボーンは見られず、
修法した人の経験的なものと感じます。
体質、季節、地域、時代によっても違いがあるでしょう。
五辛を避けるかどうかも、伝によって異なります。
ニンニクなどは、
臭気が強いから葷、食べて辛いので辛と云います。
経典によって違いがありますが、
『梵網経』では、
にんにく、行者にんにく、わけぎ、のびる、コーキョ(せり科のアギ)
ポピュラーなのは、
ニラ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ショウガ。
五辛を忌避とした理由については、
・尼僧たちが濫取するから禁じた(『十誦律』)
・臭気があるため信者から嫌悪されて(『五分律』)
・食べた仏弟子が 臭気が釈尊にかかるのを恐れて、
法談を聞きに来ない、来ても遠くに位置するから(『毘奈耶雑事』)
などがあり
大乗経典では、
『楞伽経』八に
「五種の辛は、熱したものを食べれば淫を発し
生のものを食べれば怒りを増す作用があり、
修行のさまたげになるから」
とあります。
陰陽五行説では、
辛味は肺臓大腸の滋養になり、
脂肪を溶かし、殺菌力があり、
消化促進になる。
五味のなかで最も陰性です。
ですから、
暑い季節や場所、
陽性な食事をする、
脂肪の多いものを食べる人などには、
必要で効果的と考えられます。
火断ち、塩断ち、水浴は、
迷い煩悩が消えますから、時々実践するといい。