『即身成仏義』に大日経・秘密曼荼羅品から引用した文章があります。
真言者円壇を まず自体に置け
足より臍に至るまで 大金剛輪を成じ
此れより心に至るまで 当に水輪を思惟すべし
水輪の上に火輪あり 火輪の上に風輪あり」と。
謂く、金剛輪とは阿字なり。阿字は即ち地なり。
水・火・風は文の如く知んぬべし。
円壇とは空なり。
真言者とは心大なり。
これによれば、
足より臍 大金剛輪(阿字) 地大
臍から心(胸) 水輪
心から喉 火輪
喉から頂 風輪
自身全体を包むのが空輪
拝む人が識大
これで六大=自身=仏
『密教辞典』では、
地大(膝輪) 心臓
水大(腹輪) 脾臓
火大(胸輪) 肝臓
風大(面輪) 腎臓
空大(頂輪) 肺臓
『秘釈』にある善無畏伝では、
a 地 肝臓
vi 水 肺臓
ra 火 心臓
hūṁ 風 腎臓
kham̐ 空 脾臓
これは五行説に基づいていますが、このまま観想するのは難しい。
覚鑁さんの『五字略頌』では、
我はすなわちa vi ra hūṃ khaṃ
腰と臍と心と額と頂なり
として、
腰下 a 本不生 金色方形 仏心地
臍輪 vi 言説を離れる 白円形
心上 ra 染着なし 赤三角 大智火
額上 hūṃ 因業を離れる 黒 半月 大力風
頂上 khaṃ 虚空に等しい 雑色団形 大空輪
身体の部分、五臓、五大または六大(真理の当体)、色、形、
それらをどのように観想するかが、さまざまに説かれています。
いずれにしても、
真理(仏)は一体であり乱れず、
高下大小はなく、自身の中ですべてを具足している、
と考えています。