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田楽と悟りの吽

仏教と密教

うまい豆腐が手に入ったので田楽にしました。

落語の「田楽喰い」では、
うまそうな味噌田楽がどんどん届きますが、
田楽は「味噌を付ける」ので縁起が悪い、
だから、運がつくように「ん廻し」を始めます。
「れんこん」で1本、
「人参、大根」で3本、
「天、天、天満の天神さん」で6本
などなど。

密教でウン(吽)は悟りのこと。
阿吽のうち、
阿が出発点で、すべての始まり、基本、だから真如、本初
吽が到達点で、悟りの完成、究極

吽はサンスクリット語のhūṃですが、
『吽字義』ではこれを
賀(ha)・阿(a)、汗(ū)、麼(ma)の四字の合成としています。
意味は、
賀は因、阿は不生、汗は損滅、麼は増益で、
これらは認識を越えている、あるけれども見えない聞こえない感じないもの。
吽字の瞑想修行によって、
一切の根源、自心とは何か、存在とは何か、を体験します。

『吽字義』には、

密意を解せずして小を得て足んぬとす。己有を識らず。
貧此れに過ぎたるは莫し。塵刹の海会は則ち是れ宝なり
(全宇宙はすべて自分の宝であるのに、人はその真実を知ろうとせず、
 何でもないものを大切にして貧しさに満足している)

法身の三密は繊芥に入れども迮ばからず、大虚に亘れども寛からず
(真理というものは、小は一塵の中に、大は宇宙に遍満して、
 いかなるところにも遍在しているのである)

などとあります。

田楽を食べながら、吽字の世界に入れば、
私と仏と田楽は平等になる。

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